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2013年8月8日(木)21:51(+0900)

オマル・ハイヤームのルバイヤート(酒を飲め、若き命は)

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酒をのめ、それこそ永遠の生命だ、
オマル・ハイヤームのルバイヤートより。「酒をのめ、それこそ永遠の生命だ、/ また青春の唯一(ゆいつ)の効果(しるし)だ。/ 花と酒、君も浮かれる春の季節に、/ たのしめ一瞬(ひととき)を、それこそ真の人生だ!」(小川亮作訳)

最近(ここ数年)、私が特に関心を持っている言語のひとつがペルシア語です。数年前、11~12世紀の学者・詩人のオマル・ハイヤームの四行詩集(ルバイヤート)を読んでその内容に惚れ込み、当時ペルシア語を少しだけかじっていたこともあり、ぜひ原文で読みたいと思うようになったのが、ペルシア語への関心が高くなっていた理由です。

ペルシア語の概要

ペルシャ(イラン)のイスラム化によって成立した近代ペルシア語は、アラビア語と同じくアラビア文字で書きますが、ペルシア語は系統的には英語やロシア語と同じインド・ヨーロッパ語族に属します。英語やその他のヨーロッパ系言語を勉強した人が、アラビア語を少しかじった後にペルシア語を勉強すると、「ホームグラウンドに帰ってきた」ような印象を受けるかもしれません。

また、ペルシア語は語順が日本語と同じSOV型で、限定的ながら後置詞も使うなど、文法的に日本語に似ているところもあります。非常に大雑把に言えば、ペルシア語は英語と日本語を足して2で割ったような言語で、日本人にとって比較的馴染みやすい言語だと思います。

さらにペルシア語は、8~9世紀頃に近代ペルシア語が成立して以降、現在に至るまであまり変化しておらず、1000年近く前のハイヤームの詩であっても現代ペルシア語の初級知識のみでそこそこ読むことができます。近代ペルシア語以前のサーサーン朝時代の中期ペルシア語(パフラヴィー語)も、文法面では現代ペルシア語とほとんど変わらないらしいのですが、文法以外の面ではいろいろ違っているようです。

ハイヤームのルバイヤートより(酒を飲め、若き命は)

ということで、今日は冒頭に掲げたオマル・ハイヤームのルバイヤートのひとつについて紹介します。

まずはアラビア文字(ペルシア文字)で。アラビア文字は右から左に書きます。

می نوش که عمر جاودانی اینست
خود حاصلت از دور جوانی اینست
هنگام گل و مل است و یاران سرمست
خوش باش دمی که زندگانی اینست

日本語訳は、以下のようになります。(小川亮作訳、出典:青空文庫

酒をのめ、それこそ永遠の生命だ、
また青春の唯一ゆいつ効果しるしだ。
花と酒、君も浮かれる春の季節に、
たのしめ一瞬ひとときを、それこそ真の人生だ!

拙訳で、五七五七七の短歌にもしてみました。

酒を飲め、若き命はここにあり
花と友こそ我が命なり

原文の読みは、カタカナで表すと以下のようになります。

メイ・ヌーシュ・ケ・オムレ・ジャーヴェダーニー・イーナスト
ホド・ハーセラト・アズ・ドウレ・ジャヴァーニー・イーナスト
ヘンガーメ・ゴル・オ・モル・アスト・オ・ヤーラーン・サルマスト
ホシュ・バーシュ・ダミー・ケ・ゼンデガーニー・イーナスト

発音のローマ字表記例は以下のとおり。

mey nūsh ke `omr-e jāvedānī īnast,
khod hāselat az dour-e javānī īnast,
hengām-e gol o mol ast, o yārān sar-mast,
khosh bāsh damī, ke zendegānī īnast.

単語

mey
《名詞》酒
nūsh
《動詞命令形》飲め
ke
《接続詞》(ke~)~なので
`omr
《名詞》人生
-e
《接辞(エザーフェ)》(A-e B)BのA
jāvedānī
《名詞》永遠
īnast
īn+ast これである; īn《指示詞》これ、ast《動詞》~である(三人称単数現在)
khod
《再帰代名詞》自身
hāselat
hāsel+at お前の収穫; hāsel《名詞》収穫、-at《人称代名詞接尾辞》お前の(二人称単数の所有)
az
《前置詞》~から
dour
《名詞》回転、時代
javānī
《名詞》若さ、青春
hengām
《名詞》時、時期
gol
《名詞》花
o (va)
《接続詞》そして、~と~、and
mol
《名詞》ワインの一種?
yārān
yār+ān 友人たち; yār《名詞》友人、恋人、-ān《語尾》~たち(複数語尾)
sar-mast
《形容詞》酔った、陽気な(sar: 頂上、mast: 酔った)
khosh
《形容詞》良い、楽しい、《副詞》良く、楽しく
bāsh
《動詞命令形》~であれ
damī
dam+ī 一瞬; dam《名詞》息、瞬間、一瞬、-ī《接尾辞》(不定、抽象名詞化)
zendegānī
《名詞》人生

ハイヤームのルバイヤートは、ペルシア語原文や英訳等の朗読がネット上にもいろいろとupされています。以下は、現代イランの詩人アフマド・シャムルーによる朗読および歌で、今日紹介した詩は06:15頃から歌われています。

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2013年8月8日(木)

人文科学,文学,オマル・ハイヤーム,ペルシア語